Vol. 1
CROSSTALK PODCAST

白樺並木を歩きながら。髙島理事長が「自分の足で確かめる」理由

酪農学園大学のこれからを、さまざまな「声」から考えるPodcast「大学のこれから、それから」。

第1回は、髙島英也理事長とともに、キャンパスの白樺並木を歩きます。

2023年7月18日。理事長として初めて大学を訪れた日、髙島理事長がキャリーケースを引きながら歩いたのも、この白樺並木でした。あの日、何を思いながらここを歩いていたのか。そして現在、なぜ毎日のようにキャンパスを歩き続けているのか。

約70年にわたって大学を見守ってきた白樺と、次の世代へ向けて新たに植えられた幼木。キャンパスを歩きながら、髙島理事長の就任当時と現在、そしてこれからについて聞きました。

髙島英也(愛称:でやさん)

学校法人酪農学園理事長

サッポロビール㈱ 代表取締役社長や、サッポロホールディングス㈱ 顧問などを経て、酪農学園創立者・黒澤酉蔵の理念に共感し、2023年7月より理事長就任。大学構内を自ら歩き回り、日頃の学生・教員・職員との「対話」を大切にしている。

山根哲也

コピーライター/クリエイティブディレクター

ライトパブリシティ所属。言葉を起点に、企業理念から商品企画、空間設計まで幅広い領域のクリエイティブを手がける。主なクライアントは、POLA、明治、NIKE、大阪関西万博などを担当。TCC賞、ACCグランプリ、日経広告賞最優秀賞など受賞多数。

1分で読める「大学のこれから、それから」

POINT 01|はじまりは、キャリーケースを引いて歩いた白樺並木

髙島理事長が就任した2023年7月18日。最初に向かった本館までの道として選んだのが、白樺並木でした。その約1か月前、初めて酪農学園大学を訪れた際に目にした「立派な並木」が気になり、就任初日はここを通ろうと決めていたそうです。約70年前、酪農学園大学短期大学の学生たちが野幌の原始林から幼木を持ってきて植えたという白樺。その並木が、髙島理事長とこの大学との“はじまりの道”になりました。

 

POINT 02|「まず、自分で歩く」。現場から始めた大学との対話

就任時に髙島理事長が考えていたのは、まず大学の現状を知ること。「何が課題なのか」をあらかじめ聞くのではなく、自分でキャンパスを歩き、感じ、さまざまな人と話すところからスタートしました。その姿勢は現在も変わりません。毎日キャンパスを歩き、現場に足を運び、職員や学生、高校生、地域の人たちと挨拶を交わす。そうして顔を合わせ続けることで、少しずつ相手から意見を聞かせてもらえる関係が生まれているといいます。

 

POINT 03|70年後の風景を、いまからつくる

長い年月を重ねた白樺は、寿命などによって毎年何本かが倒れてしまいます。「これはものすごい財産。次の世代につないでいきたい」。そんな思いから、新しい白樺の植樹も始まっています。植えるのは大学だけではなく、学生や高校生、そして地域の人たちも一緒に。いまはまだ細く、白樺らしい白い幹にもなっていない幼木が、何十年後かには立派な並木になる。その風景を想像しながら、大学の未来へと話は広がっていきます。

キャリーケースを引いて歩いた、就任初日の道

山根: 今、白樺並木を目の前にしています。髙島さんが理事長として就任された初日にも、ここを歩かれたと思うのですが、一緒に歩いてみてもいいですか?

理事長: はい。こんな感じで、キャリーケースを引っ張って、コロコロって来たわけですね。その日が、この白樺並木を通る最初の日でした。

山根: そのときは、何月頃でしたっけ?

理事長: 2023年7月18日ですね。その約1か月前の6月17日に日帰りでここへ来て、学長たちとお会いしました。そのときに、理事長を引き受けようと決めたんです。

山根: その場で決められたんですね。

理事長: そうなんです。6月に来たときには、この白樺並木は通らなかったんですよ。ただ、立派な並木が見えるなと思っていたので、7月18日はここを通ろうと決めていました。

山根: 本当に立派ですよね。樹齢はどれくらいなんでしょう?

理事長: 後から「誰が植えたんですか?」と聞いたんです。そうしたら、酪農学園大学短期大学の5期生、6期生が野幌の原始林から幼木を持ってきて植えたそうなんです。1955年、1956年頃なので、もう70年くらいになりますね。

「何が課題なのか」を、自分の足で確かめる

山根: 就任初日にここを歩いたとき、すでに「大学をこうしたい」というものはあったんですか?

理事長: まずは現状を把握しようと思っていましたね。今どうなっているのか、何が課題なのか。

山根: 就任される約1か月前に来られたときには、大学の課題については聞いていなかった?

理事長: 聞いていなかったですね。何が課題なのかは。

山根: じゃあ、自分の足で?

理事長: そうです。もともと「なるべく早く来てください」という話をいただいて、正直、最初はお断りしたんです。でも「まず現場に来てください」ということだったので、来てからいろいろ話を聞いて、それから断るという方法もあるなと思って(笑)。それで6月17日に来たんですけど、そこで引き受けてしまったという。

山根: 引き受けようと思った理由は?

理事長: やっぱり、この学園の雰囲気ですよね。それを感じたんです。

山根: 実際に理事長として来られてからも、まずは課題を探していったんですか?

理事長: 「洗い出す」というより、自分で歩いて、感じて、いろんな人と話をする。そこがスタートでしたね。

毎日歩くと、見えてくるものがある

山根: 今も白樺並木を歩いていますけど、髙島さんは毎日キャンパスを歩かれるんですか?

理事長: 毎日歩いています。大体1万3千歩くらいですね。

山根: どこを歩くかは決めているんですか?

理事長: その日ですね。工事が入っているところなら、進捗を見に現場へ行って、作業をしている方に直接聞いたりします。自分で確かめるということをやっています。

山根: 職員の方や学生ともコミュニケーションを?

理事長: そうですね。挨拶は交わしたいですね、本当に。学生にも、高校生にも挨拶します。

山根: 理事長というと、理事長室にいるイメージもあります。これだけ歩いて動き回るのは珍しい気もします。

理事長: 私はどんなときでも、とにかく現場を歩いて、いろんな人と顔を合わせて、挨拶を交わす。それを続けていると、だんだんいろいろな意見を言ってもらえるようになるんですよね。自分の意見って、やっぱり伝わらないじゃないですか。「伝わらない」と思っていかないと。

山根: 自分の方から動く?

理事長: そうなんです。自分を変えないと、いろんなものがいい方向にいかないと思っているので。いつでも自分を変えようと思っています。

70年前の白樺から、70年後の白樺へ

山根: この白樺、新しく植樹も始まっているんですね。

理事長: そうなんです。こちらに来てから気がついたんですが、毎年何本か倒れるんですね。「これはいかんぞ」と。この白樺並木はものすごい財産なので、次の世代につないでいきたいと思っています。最初はすごく小さな幼木を植えたんですけど、それでは「何年かかるんだ」という話になって(笑)。今は4メートルくらいのものを植えるようにしています。

山根: それでも、今ある70年ほどの白樺と比べると、まだまだ小さいですね。

理事長: 本当にすごいですよ、この木は。2年前からは15本くらいずつ植えています。学生さんが主体になって、高校生も入って、今年は地域の方々にも参加してもらいました。毎朝ここで犬を散歩している地域の方にも手を貸していただいて。「散歩しながら、元気に大きくなっているか毎日見ようと思います」と言ってくれています。

山根: 大学の人だけではなく、地域の方もたくさんここを通っていますよね。開かれた大学という感じがします。

理事長: もっと開かれた大学にはしたいですね。ただ、「もっと」って何なのかな、と。空間的に開かれているということから、もう少し違う意味での「開かれた大学」へ、ステージアップしていかなければいけないと思っています。

何十年後かにも、この場所に白樺があるように

山根: 新しく植えた白樺は、まだ幹が白くないんですね。

理事長: そうなんです。面白いですよ。白樺って脱皮するんです。最初は普通の木のような色をしていて、もう少し太くなると皮がペロッとなって、そこから「いかにも白樺」という木になっていきます。植樹した幼木が、あと何十年後かに本当に立派になればいいなと思っています。

山根: そして、この白樺並木を抜けると本館です。

理事長: そうですね。2023年7月18日も、この先の本館4階から「ここですよ」って手を振っている人がいました。

山根: 就任初日は、不安も大きかったですか?

理事長: やっぱり不安ですよね。でもまずは、現状把握、現状認識。「今がどうなの?」というところから始める。それはもう、自分でやるしかないと思っていました。

70年前、学生たちの手によって植えられた白樺。

その並木を歩いて始まった髙島理事長の酪農学園大学での日々は、いま、新しい白樺を次の世代へ残す取り組みへとつながっています。

まずは歩くこと。人と顔を合わせ、話を聞き、自分の目で確かめること。

白樺並木を抜けた先に、これからどんな大学の風景が広がっていくのか。

「大学のこれから、それから」では、これからもキャンパスを舞台に、

酪農学園大学の未来を考えていきます。

Credit

文
對馬 杏衣
撮影
對馬 杏衣
音声編集
野村 大輔